「クリーン・コール」神話の終焉:OECDの脱石炭重視に伴い、石炭ロビー団体が活動を終了

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OECD blog – Japan translation
富山新港火力発電所と立山連邦

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国際持続可能炭素センター(International Centre for Sustainable Carbon, ICSC)が50年の歴史に幕を下ろしました。いわゆる「クリーン・コール」技術を推進してきた同センターの活動終了は、石炭を支持する声が弱くなってきたことの表れです。ICSCのエネルギー戦略が目指した未来の技術オプションは、排出量を徐々に削減するのが精一杯であると同時に、今すぐ排出量を減らそうとする政策行動に反対するための、いわば言い訳でした。

現実世界に見られる脱石炭火力発電の流れ

この石炭ロビー団体の活動終了は、現実世界に見られる脱石炭火力発電の傾向を如実に映し出しています。2015年のパリ協定採択以来、世界で計画中の石炭火力発電容量は3分の2近く縮小しています。2024年に世界で新たに加わった石炭火力発電容量は過去20年で最低でした。また石炭火力発電の新設は少数の国に偏っており、世界で計画されている石炭火力発電プロジェクトの96%はわずか11カ国に集中しています。

クリーンエネルギーが世界的に手頃な価格で利用できるようになったことが、こうした石炭火力発電の縮小を後押ししました。2024年に新たに運転を開始した再生可能エネルギー発電事業の91%が、新しい化石燃料発電事業より費用対効果に優れていました。全世界のほぼすべての市場で、新しい風力・太陽光発電所の方が新しい石炭・ガス発電所より生産コストが安くなっており、BloombergNEFの調査によると、クリーン技術の均等化発電原価(LCOE)は2035年にはさらに22~49%下がると見込まれ、そうなると石炭火力発電の採算性は一層不利になります。

石炭離れが進むOECDおよびEU諸国

石炭火力発電の新規プロジェクトがなくなるのは時間の問題でしょう。また、OECD・EU加盟国で既存発電所の退役が相次いでいるのは、世界的な石炭フェーズアウトも着実に進んでいることを意味します。

2015年のパリ協定採択以来、OECD/EUで計画中の発電容量(発表済み、建設前許可段階、許可済み)は縮小し、稼働容量も着実に減少しています。


OECD諸国の石炭火力発電は2007年がピークで、その後、半分未満に減少しています。パリ協定の目標に沿う形で、OECDとEUの石炭火力発電容量の78%は、2010年以降に退役したか、または2030年までの退役が見込まれます。この間の石炭火力発電減少の87%は、太陽光・風力発電の急増によるものです。しかし、政治的コミットメントを実現するためには、OECD諸国の退役する石炭火力発電所容量を年間19GWから80GW余りへと4倍超にする必要があります。

英国は昨年、最後の石炭火力発電所を閉鎖しました。2025年にはアイルランドが最後の石炭火力発電所を閉鎖し、欧州で石炭火力発電を完全に廃止した15番目の国になりました。フィンランドは最後の現役石炭火力発電所を4月に閉鎖しました(1基は予備電源に移行)。

スペイン本土とイタリア本土もそれに続き、今年、石炭火力発電を段階的に廃止する予定です。トレンドは明確であり、石炭はもはや経済的競争力がなく、各国のエネルギー安全保障にとっても必要ではないのです。

パリ協定を遵守するためには、OECD諸国は2030年までに石炭火力発電を段階的に廃止しなければならず、OECD以外の国の石炭火力発電所も2040年までに閉鎖しなければなりません。現在、OECD加盟国で脱石炭国際連盟(PPCA)に加盟していないのは、オーストラリア、日本、ポーランド、韓国、トルコだけです。これらの国が他の国々と同じようにクリーンエネルギーへの移行を速めることによる経済的利益やエネルギー安全保障上の利益を得るためには、2030年までの段階的な脱石炭を約束する必要があります。

根拠も拡張性もなく、高コスト:「クリーン・コール」を目指す国はエネルギー転換で後れを取る恐れ

「クリーン・コール」を目指し続けている少数の国々は、クリーンエネルギーへの移行に遅れを取る恐れがあります。国際持続可能炭素センターが半世紀にわたって、いわゆる「もっとクリーンな」炭素ベースのエネルギー源を擁護してきたにもかかわらず、「クリーン・コール」技術はいまだに高コストで、排出量削減可能性も低く、いつまでも計画・試験段階にとどまっています。

国際持続可能炭素センターと密接に協力してきた日本は、排出量削減策として「クリーン・コール」を後押しし続けています。しかし、世界第8位の排出国である日本のこの取り組みは成功しておらず、同国は他のG7諸国の後塵を拝しています。無対策の石炭火力発電所を2030年代前半に段階的に廃止するなど、電源構成の全体または大部分の2035年までの脱炭素化を約束しているにもかかわらず、石炭は今なお電源構成の32%を占め、日本はいまだに石炭火力発電所の新設を計画しています。このようにエネルギー転換への意欲が見られない石炭政策のせいで、日本が国際公約を守れるのかどうかが大きく疑問視されており、同国は世界のクリーンエネルギーへの転換に後れを取る恐れが高まっています。

米国もOECDの中では特異な存在で、南北アメリカ大陸の国で唯一、石炭火力発電所の新設を計画しています。OECDとEUで計画中の石炭火力発電容量が過去最低水準となる中、米国では3つの石炭発電所建設が提案されており、南北アメリカで他に例を見ない状況になっています。

石炭離れを速める韓国

一方、韓国は段階的な脱石炭の計画を加速させています。李在明大統領は、すべての石炭火力発電所を2040年までに閉鎖するとの選挙公約を掲げました。2025年の第11次電力需給基本計画では石炭が電源構成に占める割合を2038年までに10.06%に減らす予定ですが、それを上回る意欲的な取り組みです。同基本計画ではまた、化石燃料依存を減らし、クリーン電力を経済成長に不可欠な要因として重視することで、2038年までに再生可能エネルギー容量を4倍の121.9GWに増やすことも目指しています。

石炭の段階的縮小について、パリ協定にできる限り準拠したスケジュールを公表すれば、気候変動対策で主導的立場をとるという強いメッセージになります。今年のクリーンエネルギー大臣会合を主催した韓国は、石炭の段階的縮小のメリットを示し、次の国家排出量削減目標(NDC)に石炭の大幅削減の約束を盛り込むための基盤が自ずと整っています。これにより、ブラジル・ベレンでのCOP30に向けて、脱化石燃料の世界的動きに勢いがつくでしょう。

ICSCの活動終了は、石炭火力発電の終焉が世界的に避けられないことを改めて示しています。石炭火力の敗色は決定的であり、環境に最も悪いこの燃料を推進し続ける国は、目の前の大きな経済的機会を逃す恐れがあります。

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